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「花の蕾が開く音や植物のちょっとした表情の変化を楽しみながら」フリーランスPR・水野優子さん

2022.06.12 / 高村学 撮影:藤田由香
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フリーランスのPRとして活躍する水野優子さんは、コロナ禍をきっかけにして花のある暮らしを楽しむようになりました。最近は育てている植物のちょっとした表情の変化を記録しながら、時の移ろいや自然の愛おしさを感じています。それまでは海外出張も多く、家を開けがちな毎日でしたが、「植物も一緒にいてあげないとかわいそう」と思うようになったそうです。「ポピーなんかがわかりやすいですが、ちょっとした時にカサカサっと蕾が開く音が聞こえます。植物のそうした表情や動作は本当に神秘的ですね。花が満開になった時、そして朽ちていく時までが本当に素晴らしいと感じます」と語ります。一緒にいる時間が増えたからこそ、こうした変化に気付く感性が養われているのかもしれません。

「コロナ禍で大変な思いをしている花農家を少しでもサポートできればという気持ちから、自宅に花を飾るようになりました。最近は花がないと落ち着かないくらいで、逆に今までどれだけ殺伐とした生活を送っていたのだろうかと思います。花は、ちゃんと見ていますよというアテンションをしてあげないとすぐに弱ってしまいます。それがすごく不思議です。植物はなにも言わないですが、かまわれていると感じると葉は広がり枝も伸びてすくすく育ちます。人も植物も同じで、ひとつひとつ丁寧にケアしてあげることで維持できます。大変ではありますが、気持ちが豊になりますし、花のある生活がなんて素敵なのかといつもパートナーと話しています」。

インテリアに対する考え方も変化したそうで、使い終わった瓶やなんでもない器に花を挿して楽しんでいます。「気を張って花を活けるのではなくて、捨てようと思っていたジャムの空瓶があるからこれに挿してみようというくらいの気分でいいですよね。口が広い花器は花をたくさん挿さないといけないですが、空瓶なら一輪挿しでもしゅっと様になりますし、それにサステナビリティにも繋がりますよね」。

水野さんは、最近は出身地である熊本県で、無農薬で環境にも配慮した酒米から作っている花の香酒蔵や阿蘇の豊富な伏流水から作ったクラフトビール、ダイヤモンドブルーイングのPRを手掛けています。彼らとの仕事を通じて、自然とどう共存していくかを考えるようになったそうです。「トトロが出てきそうな田舎ですが、今になってはそういった環境で育ったことをありがたいなと思います。頼もしいことに、熊本の若い世代たちは、自然とどう共存するかをみんなで考えています。もちろん自然を相手にする大変さもあります。ただ、東京では数字を追いかけるのが仕事になっていますが、農家が追いかけているのはジャンボタニシなどの害虫で(笑)、働き方やストレスの感じ方が全く違っていますよね。今、植物やナチュラルなものがすごく求められているものは、自然の生業のなかに私たちが生かされていることをすごく感じているからではないでしょうか。コロナ禍で大変な時を過ごしてはいますが、そういう考えに至るための入口だったのかもしれませんね」。

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華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura
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