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「私たちの初恋の相手は自然でした」北欧の豊かな自然とそこに生きる人々を映し出す映画『SONG OF EARTH』

2024.08.19 / Mishiru Yoshizaki
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ノルウェー西部のオルデダーレン渓谷。世界有数のフィヨルドと雄大な氷河に囲まれたその地こそが本作の舞台です。映像は、圧倒的な映像美と重厚なサウンドとともに、四季ごとの美しい自然や動物の姿を映し出し、水、氷、風や虫の音などに耳をすませば、まるで私たちが生きる地球の一部になったような感覚になります。そして、このような美しい場所が存在することに喜びを感じます。

風景やサウンドだけでなく北欧の人々の人生哲学も、私たちにこの地球上で生きる意味を考えさせます。本作はオルデダーレン渓谷に暮らす老夫婦の姿を、その娘であり、都会に暮らすドキュメンタリー作家のマルグレート・オリン(『もしも建物が話せたら』など)が一年をかけて密着しました。「パパ、おとぎ話を聞かせて」という言葉を始まりとして、84歳になった父親はノルウェーで最も美しい渓谷と呼ばれる場所に娘を案内しながら、自身の生い立ちや妻への愛、この地に暮らしてきた何世代にも渡る人々の人生について語り始めます。

自然の中を歩き続け、その中でひたすら人生について考えてきたという父親の言葉の中には、シンプルで深い人生哲学も垣間見えます。

「何よりも大切なのは共に幸せであること」
「どちらが先に人生の終わりを迎えるか決められない。その時が来たら対応するだけだ」
「自然は人生そのものの価値が増すような舞台を用意してくれている」

自然とともに生き、その偉大さに尊敬の心をもっているからこそ、このような言葉の数々が私たちの心を打ちます。多くは語られませんが、その言葉の一つ一つが深い意味を持っています。

彼らの自然を見つめるそれは、敬愛のまなざしです。時には厳しい自然にも感謝し、自身の一部と捉えています。娘はそのようにシンプルで豊かに生きる両親の姿から、人生の意味や生と死について学んでいきます。私たちも、この地球に生きる意味や、人を愛すること、気候変動、死ぬこと、など様々なことを学び、考えることでしょう。

生きるとは、老いるとは何か——。厳しくも美しいノルウェーの四季と共に生きる家族の姿を通して、人生を探求する感動のドキュメンタリーです。

◾️『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』概要
9月20日(金)TOHOシネマズシャンテ、シネマート新宿ほか全国公開
公式ホームページ:https://www.transformer.co.jp/m/songofearth/
© 2023 Speranza Film AS

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華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura
Shungetsu Nakamura
Shungetsu Nakamura
華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura

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